5.奨学金の返済について

5.奨学金の返済について

それでは、返済について考えてみましょう。

奨学金を利用すると、「給付型」奨学金以外は返済が発生します。
返済が始まったとき苦労しないように、返済のポイントを学んでいきましょう。

1.いくら借りるか

あなたが奨学金を利用するときは、毎月いくら必要なのかを考えて
金額を決定すると思います。

でも、奨学金を利用するときは、毎月いくら必要なのか、ではなく
毎月いくらなら返済できるのか、を考えることが無理のない返済のポイントです。

どうしても、大学生活を送るのに必要な金額の総額を考えてしまいがちですが、
大学卒業後に始まる返済を考えて利用額を決めていきましょう。

そこを考えていないと、卒業後から10年、15年、20年と続く返済のために、
自分のライフプランが
上手くいかなくなることでしょう。

ちなみに「第二種」を利用した人の返還利率が決定するのは、貸与終了時になります。

上限利率は年3.0%と決められていますが、いくらの利率になるかは
申し込み時点ではわからないのです。

また、一般的には毎月の返済額が、年収の20%を超えるようなら危険と言われています。

現実的には手取り金額の5~10%で収めるようにしないと、返済は厳しくなると考えましょう。

厚生労働省の平成29年賃金構造基本統計調査結果(初任給)では
大卒の初任給はおよそ200,000円です。

この金額は手取り金額ではなく総額になります。
この金額から税金や社会保険料などが
引かれることになります。

そうするとおよそ手取り金額は150,000160,000円ほどです。
この中から返済をしていかなくてはならないのです。

~10%ですと、7,50016,000円になります。この金額が1020年続くわけです。

日本学生支援機構の奨学金では、借入の金額によって返済期間はそれぞれ異なります。

日本学生支援機構(JASSO)のホームページより4年制大学の返還例の一覧を
表にしていますので参考にしてください。

・第一種奨学金

4年制】

通学形態 貸与月額 貸与月数 貸与総額 返還月額 返還回数(年数)
国・公立 自宅 45,000円 48か月 2,160,000円 12,857円 168回(14年)
自宅外 51,000円 48か月 2,448,000円 13,600円 180回(15年)
私立 自宅 54,000円 48か月 2,592,000円 14,400円 180回(15年)
自宅外 64,000円 48か月 3,072,000円 14,222円 216回(18年)
国・公・私立 自宅・自宅外 30,000円 48か月 1,440,000円 9,230円 156回(13年)

・第二種奨学金

4年制 貸与月数48か月】

貸与月額 貸与総額 年利 返還総額 返還月額 返還回数(年数)
30,000円 1,440,000円 0.5% 1,491,061円 9,557円 156回(13年)
1% 1,543,214円 9,892円
2% 1,650,545円 10,580円
3% 1,761,917円 11,293円
50,000円 2,400,000円 0.5% 2,497,419円 13,874円 180回(15年)
1% 2,597,188円 14,428円
2% 2,803,404円 15,574円
3% 3,018,568円 16,769円
80,000円 3,840,000円 0.5% 4,045,295円 16,855円 240回(20年)
1% 4,257,117円 17,737円
2% 4,699,817円 19,582円
3% 5,167,586円 21,531円
100,000円 4,800,000円 0.5% 5,056,654円 21,069円 240回(20年)
1% 5,321,420円 22,172円
2% 5,874,754円 24,478円
3% 6,459,510円 26,914円
120,000円 5,760,000円 0.5% 6,068,011円 25,282円 240回(20年)
1% 6,385,730円 26,606円
2% 7,049,746円 29,373円
3% 7,751,445円 32,297円

 ※最新の情報は必ず日本学生支援機構(JASSO)のホームページで確認してください。

第二種の場合ですと、毎月の返済額を750016000円の範囲内と考えると、
上限利率2%で貸与月額は50,000円が限度になり、返済期間は15年です。

第一種との併用となれば、各奨学金について並行して返還することになり、金額はUPします。

まずは、無理なく返済できる月々の金額を考えてから貸与月額を決めましょう。

 

2.繰上返還も考えよう

奨学金は、通常一定額を毎月返還していきますが、
全部もしくは一部をまとめて返還することもできます。

これが繰上返還です。

日本学生支援機構(JASSO)の「スカラネットPS(スカラネット・パーソナル)」から
申し込みます。

奨学金の申し込みに利用した「スカラネット」とは違いますので注意しましょう。

スカラネット 奨学金の申し込み、進学届の提出等
スカラネットPS 奨学金継続の申し込み、繰上返還の申し込み等

また、電話・FAX・郵送でも申し込みができます。

申し込み方法によって、繰上返還手続きの締切タイミングは違いますので合わせて注意しましょう。

繰上返還をすることによって、返還期間が短縮され、支払利息が少なくなります。

また、毎月の奨学金から保証金が差し引かれている機関保証制度の利用者は、
返還期間が短縮されることで保証金の一部が戻ってきます。

毎月の支出を見直しお金に余裕を持つようにして、ぜひ繰上返還をすることをお勧めします。

 

3.返還方式について

奨学金は、「第一種」「第二種」によって返還方式が異なります。

1.「第一種」奨学金の返還方式

「第一種」の返還方式は、下記の2つから選択します。

所得連動返還方式
定額返還方式

所得連動返還方式とは、前年の所得に応じてその年の毎月の返還額が決定します。
毎年の所得に応じて返還月額が変わるため、返還期間の定めはありません。

ただし、前年の所得がない卒業後の初年度返還月額は、
定額返還方式による返還月額の半額に
なります。

それでも返還が困難な人もいると思います。

その場合は、申請をすることによって月額2,000円に減額することもできます。

定額返還方式とは、貸与総額に応じて月々の返還額が算出され、
返還完了まで定額で返還する
方法です。

借りた奨学金の総額によって、自動的に毎月の返還額と回数が決定します。

また定額返還方式には、

利率固定方式
利率見直し方式

があります。

利率固定方式は、貸与終了時に決定した利率が、返還完了まで適用されます。
利率見直し方式は、貸与終了時に決定した利率を、おおむね5年ごとに見直します。

奨学金を申し込む時に、どちらかを選択し、それにより、利率は異なります。

利率が決まるのは、貸与が終了するときですので、その前に、変更することも可能です。

2.「第二種」奨学金の返還方式

「第二種」の返還方式は、定額返還方式のみです。

定額返還方式で、利率固定か利率見直しかを選択することになります。

 

4.返還が厳しいときは…

転ばぬ先の杖といっても、人生は何が起こるかわかりません。
自分の返還計画通りにいかないこともあります。

そんな時のために、奨学金の返還が困難になったときに申請できる制度について
確認しておきましょう。

・減額返還…約束どおりの返還は困難だが、減額した金額ならば返還が継続できる場合

減額返還は、災害、傷病、経済困難、失業などの返還困難な事情が生じた場合に
願い出できる制度です。

一定期間、「当初割賦金を2分の1または3分の1に減額」して、減額返還適用期間に
応じた分の返還期間を延長することにより返還しやすくなります。

※返還予定総額が減額されるものではありません。延滞している場合は願い出できません。

1年ごとに願い出る必要がありますが、最長で15年まで延長が可能です。

【減額返還できる収入等の基準】

給与所得の人 年間収入金額 3,250,000円以下
給与所得以外の人 年間所得金額 2,250,000円以下

ただし、第一種奨学金の所得連動返還方式を選択した人は利用できません。

・返還期限猶予…現在返還が困難であるため、一定期間返還を待ってほしい場合

返還期限猶予とは、災害、傷病、経済困難、失業などの返還困難な事情が生じた場合に
願い出できる制度です。

一定期間「返還を停止し先送りにする」事により、その後の返還がしやすくなります。

※返還すべき元金や利息が免除されるものではありません。

1年ごとに願い出る必要がありますが、最長で10年(一部の事由については、
その状態が
継続している期間中)まで延長が可能です。

【返還期限猶予できる収入等の基準】

給与所得の人 年間収入金額 3,000,000円以下
給与所得以外の人 年間所得金額 2,000,000円以下

減額返還・返還期限猶予を申請する場合

減額返還・返還期限猶予におけるマイナンバーの使用

・平成309月以降減額返還・返還期限猶予を申請する際は、
すべての方についてマイナンバーの提出が必要となります。

どちらの制度を利用するにしても、期限が延長されるだけであって、
返済する金額は利息を含めて
変わりません。

返還が一定期間延滞すると、ブラックリストに載ることになります。

ブラックリストとは個人信用情報に(金融)事故情報が掲載されることです。

信用情報とは、現在までにどういった借り入れがあったか、滞納がなかったかといった
個人情報の一種で金融機関が契約する際の審査基準として用いています。

この信用情報に傷がついてしまった状態が、ブラックリストと呼ばれているです。

信用情報に傷がついたという事実は、事故情報や異動情報、ネガティブ情報などとも呼ばれ
長期間(3か月以上)の返済滞納や債務整理などが生じた場合に、契約先の金融機関から
直接登録登録されます。

ブラックリストに載るとどうなるのか?

もっとも大きい影響としては、借入時の審査に通るのが難しくなります。

審査に通れないため、住宅ローンやオートローンはもちろんのこと、
クレジットカードを作ることすら
難しくなってしまいます。

卒業後に、返還が困難になったら必ず日本学生支援機構(JASSO)の
奨学金返還相談センターへ連絡して減額返還や返還期限猶予などの制度を
利用するようにしましょう。

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